Vietnam's top things to see and do

360度パノラマ

著者: 新井美和
発行: 2014年9月22日11:34:21
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ベトナムのカフェ


ベトナムのカフェ





 今年7月、アメリカのコーヒーチェーン「スターバックス」がハノイに開店した。

ホーチミンにはすでに8店もあるけれど、ハノイでは初店舗とあって、開店当日は行列ができるほどの話題に。

外国企業のベトナム出店は、お堅い首都のハノイより柔軟で活気あるホーチミンから、

またはホーチミンだけ(!)ということが多く、その貴重さゆえか、ハノイっ子には欧米ブランドに憧れるような気持ちがまだある。

ハノイにはマクドナルドは未だない。


高級ブティックのような入口
高級ブティックのような入口


ハノイ柄登場!
ハノイ柄登場!



 で、新しくできたスタバは、「ここはハノイか?」というか、「これがスタバか?」と驚くような高級感が半端ない空間だった。

値段はアメリカンコーヒーのトールサイズで 約275円(55,000VND)と、地元の店の2倍近い値段。

抑えた照明に英語の商品ポスターが浮かび上がる。

“外国の洗練されたカフェ”イメージへの期待は裏切らないが、客層も尋常でなくハイソで、店の前には真っ赤なアウディが・・・。

うーーん、普通のハノイっ子は、ここにほんとに来るだろうか。  


 ベトナムはカフェ文化のある国だ。カフェの向かいにカフェ、カフェの隣にカフェ。

ベトナム語でコーヒーは「Ca Phe(カーフェー)」だし、それはフランス植民地時代の置き土産とも言われているけれど、

どう見てもパリより多い。というか、ベトナムには喫茶店以前の、その “起源”のような店がいたるところにある。歩道のお茶屋だ。

(ちなみにベトナム語でお茶は「Tra(チャー)」で中国語起源)


しぶすぎるおばちゃん茶屋
しぶすぎるおばちゃん茶屋


ベトナム将棋(?)はカフェの定番
ベトナム将棋(?)はカフェの定番


竹筒煙草もカフェの定番。ポットだけでなく、扇風機も自宅から持参&街路樹にセッティングする
竹筒煙草もカフェの定番。ポットだけでなく、扇風機も自宅から持参&街路樹にセッティングする


 



 公園、歩道、工事現場の脇、とにかくスペースがあれば必ず、プラスチックの低い椅子、急須とコップを並べて

駄菓子やお茶を出すだけの、即席喫茶店がある。

いかにも近所のおばちゃんが、いかにも家から持ってきたようなヤカンや急須からコップにお茶を注ぐ。

お客はその一杯を片手に、小さな椅子に掛け、ぼんやりと通りを眺め、語り、延々とベトナム将棋に耽っている人たちもいる。

どこもとても埃っぽい道端で、店主の愛想はほぼなく、特に美味しいお茶が出るわけでもなさそうだ。なのに、いつも人が入っている。


暑い夏の日は冷やし緑茶
暑い夏の日は冷やし緑茶



 実際に座ってみる。座り心地の悪そうに見えた低いプラ椅子からぼんやりと眺める世界は、なんだか面白い。

微妙に見上げる低さのせいなのか、歩道という路の途中にいるからなのか、よくわからないけれど、

喧噪のなかにいながら時間がゆったりと流れる、不思議に居心地の良い場所なのだ。

思えば“歩道に座ってお茶を飲みながら街を観る”のは、カフェのテラスそのもの。

この国ではほぼどこでも、たったの25円(お茶はコップ一杯5,000VND位~)で、そんな贅沢な時間を過ごせる。


旧市街の洋館を改装した、隠れ家風なカフェも多い。店番は猫。
旧市街の洋館を改装した、隠れ家風なカフェも多い。店番は猫。



 カフェがたくさんある街は、優雅だ。それだけ、人生を立ち止まる場所があるのだから。

歩道のお茶屋からモダンなカフェまで、個性豊かな“人生の休憩所”で潤う街ハノイ。

世界の多くの場所が、それぞれの懐かしい風景を失いながら、欧米の大手チェーン店に通りを明け渡しつつある。

どこへ行っても、いつかは同じ風景になってしまうのではないかと思うほどに。

数十年後のハノイでも、スタバが違和感たっぷりのガイジンであり続け、

歩道のおばちゃん茶屋にのどかな時間が流れていることを、切に願う。

カテゴリー外, Hanoi

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